NPU(Neural Processing Unit)とは
NPU(Neural Processing Unit)とは、ニューラルネットワーク演算に特化して設計されたプロセッサです。AI推論の中心処理である行列-ベクトル積演算(GEMM)を効率的に実行するため、CPUやGPUとは根本的に異なるアーキテクチャを持ちます。
CPU・GPU・NPUの役割をエッジAIの視点で整理すると、次のように分けられます。
CPU
直列的な制御処理が得意。OS・アプリケーションの実行はCPUが担う。AI処理には演算コアが少なく非効率だが、柔軟性が高い。
GPU
多数のコアによる並列演算が強み。機械学習の学習処理に広く採用。エッジ用途では消費電力・筐体サイズが課題となりやすい。
NPU
AI推論に必要な行列演算に特化した専用設計。GPUと同等以上の推論性能を、はるかに低い消費電力・小型フォームファクタで実現する。エッジ現場への展開に最適。
データセンターのGPUサーバーによるAI推論は高性能ですが、製造ライン・屋外設備・医療機器など「現場」への展開には、次のような壁があります。
■消費電力:
常時稼働するエッジデバイスでは、数百W規模のGPUは運用コスト・発熱・電源インフラの面で現実的ではありません。NPUはAI推論のみに特化した回路構成により、数W〜十数Wで高い推論スループットを実現します。
■長期安定供給:
産業機器は5年・10年単位での安定供給が求められます。コンシューマ向けチップとは異なり、産業グレードのNPUメーカーは長期サポートを前提とした製品ロードマップを持っています。
■開発SDKの親和性:
既存のPyTorch・TensorFlow・ONNX資産をそのまま活用できるかどうかは、導入コストと移行リスクに直結します。主要なNPUメーカーはこれらのフレームワークとの変換・最適化ツールを提供しています。
アナログ・テックは、産業向けエッジAI推論に最適な2つのNPUメーカーの製品を取り扱っています。用途・要件に応じて最適な選択肢をご提案します。
Hailo
イスラエル発のAIチップメーカー。産業向けエッジAI推論に特化した「Hailo-8™ AI Processor」は、26TOPS・低消費電力・-40℃〜85℃動作に対応。耐環境産業用PCとの組み合わせで、過酷な現場へのAI実装を実現します。最長10年の長期供給を予定。
📌 動作温度:-40℃〜85℃|産業グレード長期供給対応
📌 SDK:HailoRT / TAPPAS(ONNX・TensorFlow対応)
AxeleraAI(アクセレラエーアイ)
オランダ発のAI半導体スタートアップ。独自のD-IMC(Digital In-Memory Computing)アーキテクチャにより、Samsung 5nmプロセスで214 TOPS・8〜15Wという業界最高クラスのコスト効率(FPS/$)を実現。AironiA「AIR-AD-AI-001」に採用。Fast Company誌「2026年最も革新的な企業」選出。
📌 消費電力:8〜15W|Samsung 5nm / D-IMCアーキテクチャ
📌 SDK:Voyager®(PyTorch / TensorFlow / ONNX対応)
-
HailoとAxeleraAIはどのように使い分ければよいですか?
-
防水・防塵が必要な過酷な屋外・食品工場環境にはHailo搭載の産業用PC(AT-IPCFGシリーズ)が適しています。屋内設置・デスクサイド・ラック内など非防水環境で高い推論性能を求める場合は、214 TOPSのAxeleraAI Metis® AIPU搭載のコンパクト AI PC「AIR-AD-AI-001」が最適です。詳細はお問い合わせください。
-
既存のPyTorch・TensorFlowモデルはそのまま使えますか?
-
HailoもAxeleraAIも、ONNX・TensorFlow・PyTorchのモデルをNPU向けに変換するSDKを提供しています。既存のモデル資産を活かしながら、エッジ推論環境へ移行できます。
-
どのように要件を伝えればよいですか?
-
用途(アプリケーション)、環境条件(温度・湿度・粉塵など)、必要なI/Oポート、筐体サイズ、OS、数量、予算・納期などをできる範囲でご提示ください。ヒアリングシートもご用意しています。
-
長期的に同じ仕様の製品を供給してもらうことはできますか?
-
原則としてできますが、部品の生産終了などがある場合は代替部品で継続供給を図るなどの手段を検討します。製品ロードマップを事前に打ち合わせし、長期安定供給を目指します。